「外国人留学生の就職や採用後の活躍に向けたプロジェクト」政策検討委員会にて

政府 日本語 教育

産業界の後押しもあり、ここ最近、外国人材の採用や就職支援が国内を中心に広がりをみせています。昨年閣議決定された、いわゆる骨太の方針において、どちらかというと外国人の単純労働者拡大に舵を切ってから、この周辺について、様々な政策や政府主導の取り組みが動いています。

メディアが新しい在留資格「特定技能」を取り上げることが増えていることからも、人手不足の文脈で、このあたりのテーマに興味を持つ企業も増えていることと思われますし、日本貿易振興機構(JETRO)をはじめ、東京都や千葉県、静岡県、石川県、福井県、香川県など、各地の自治体の予算を元に、全国で企業向けの講演会やワークショップを開催させて頂いている身としては、日本企業、特に地方企業からの外国人雇用に対する期待の高さを感じずにはいられません。

では、これらの産業界に優秀な人材を送り出す立場の国内大学はどうでしょう。文科省の「留学生就職促進プログラム」も、5年のプログラム期間のうち半分をほぼ終え、今はちょうどプログラム採択された各大学の留学生就職支援の中身や成果を細かく検証する折り返し地点にきていると聞いています。
また、今年に入ってしまいましたが、長く超党派の議連が検討を重ねてきた「日本語教育の推進に関する法律」が6月にやっと国会で成立し(ぼくも議連発足時から、冷や汗をかきながらこの法案の推移をじっと見守っていた日本語教師の1人です)、それなりの歴史を持つこの国の日本語教育も次の一歩を踏み出すこととなりました。

こう振り返ると、就職する外国人材への支援については、だんだんと外堀が埋まりつつある状態と思えなくもないわけです。

加えて、政府や大学などの教育関係者だけでなく、人材紹介業などを中心に、留学生を含む国内外在住の外国人材をビジネスとして支援する取り組みも、ここ数年、確実に広がっており、多くの事業者がこのマーケットに参入してきています。
関連して、在留資格の申請手続きの簡素化をサービスとして展開する企業、独自の保証人制度を持った不動産事業者や生活支援団体など、日本で活躍する外国人材の国内での生活を支えるサービスも拡大を続けています。
同様のサービスは今後さらに国内で増えるものと思われます。

一方で、外国人を採用する企業に対する支援はどうでしょうか。
特に、単純労働者ではなく、日本企業の海外展開やイノベーション、事業拡大、売り上げに貢献できる、優秀な外国人材を雇用したいと考える日本企業に対する支援はどうでしょうか。
本当に企業支援は十分といえるのでしょうか。

確かに、私もJETROエキスパートとして仕事をしている政府の新輸出大国コンソーシアムなどは、その取り組みの代表的なものと言えると思いますが、JETRO内で外国人雇用の企業支援に専従で取り組むコンシェルジュは、確か全国に7名しかいません。
また私を含め、JETROと契約をして「高度外国人材の活用」領域で企業支援のエキスパートを務めているのも、今年度は全国にたった6名しかいません。

人数もさることながら、個人的に最も心細いのは、(これは全国の取り組みの段階を考えると当然ではあるのですが)現行の企業支援の中心は、あくまで採用支援や在留資格変更などの事務手続きの支援が中心であり、すでに採用された人をいかに生かすのかといった、採用後の定着支援についてはあまり議論が進んでいるとはいえないことです。
外国人材の活用という領域では、常に量の議論が先行し、質の議論はまだまだの段階にあると感じています。

こうした背景から、閣議決定を踏まえて経済産業省が中心となり、今年8月に「外国人留学生の就職や採用後の活躍に向けたプロジェクト」政策検討委員会が発足しました。
この委員会のゴールは、簡単にいうと「多様な外国人には多様な採用があるはずで、同様に採用後の外国人材に日本企業で活躍してもらうためには、日本企業も今までのような採用をしていても仕方がないので、外国人材の採用や活躍推進にあたって、企業自体が便利に使えるチェックリストのようなものを作っちゃおう」というものです。

私はこの委員会の委員を拝命していて、第1回の委員会でも1人目として委員発表をしましたが、その中で、問題意識や現在の企業支援の取り組み、また外国人雇用を進める企業のための自社ツール「外国人スタッフ定着度測定テスト」などのサービスを委員の皆様と共有しました。

さて、前置きが長くなったのですが(汗)、
この第1回の委員会で、ある委員の方から、とても面白い質問を頂いたので、それに対する回答を、当日の内容を補完する形でここに書きこのしておきたいと思います。
頂いた質問は、「外国人雇用が広がる一方、企業で働く外国人材へのビジネス日本語教育の取り組みですが、国全体としてみたときに、大いに心許ないですね」と私がぼやいたあとに発せられたもので、内容としては以下のようなものでした。

質問:ビジネス日本語教育が手薄な中、どう企業の日本語研修を充実させていくべきだとお考えですか。

これは大変ありがたいご質問であり、また発言の細則については公的な議事録に記載がないので、これに対する私なりの考えを、3つのポイントに整理して説明してみたいと思います。(次回に続く)

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