特定技能2号とは?特定技能1号や技能実習との違いをわかりやすく解説
特定技能2号は、2023年に認められた在留資格で、熟練した技能を持つ外国人が取得可能。特定技能2号在留者は、人手不足が深刻な産業で即戦力として活躍することが期待されています。この記事では、特定技能の意味、特定技能1号と2号の違いはなにかについてわかりやすく解説。ぜひ参考にしてみてください。
この記事でわかること
1.特定技能とは、在留資格のこと。労働力が足りていない産業の人手不足解消のため創設された。
2.特定技能2号は、熟練された技術を持つ外国人が認められる在留資格で、一定の要件を満たすと、将来、永住申請が可能。特定技能1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人に認められる在留資格。
3.特定技能2号と特定技能1号の大きな違いは、「求められる仕事のレベル」「在留期間」「家族の帯同の可否」。
特定技能とは?わかりやすく解説
特定技能とは、2019年4月に導入された在留資格のことをいいます。特定技能制度は、日本国内で人材を確保できない産業において、人手不足を解消するために作られた制度です。労働力が足りていない業界が即戦力となる人材を確保できることから注目を集めています。原則としてどの国籍の人でも取得可能ですが、例外的にイランとイスラム共和国は除外されています。(※)また日本政府との二国間協定の締結国であっても、独自の手続きが必要な場合もあります。外国人材採用に際し、その国の手続きについてはよく調べておくことをおすすめします。
特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類の在留資格があります。特定技能1号は、12分野の職種、特定技能2号は介護分野を除く11分野の職種が対象です。
※出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和6年4月)」より
特定技能2号とは?
特定技能2号とは、11分野の職種において熟練した技術を持つ外国人が認められる在留資格のこと。在留期間に上限がなく、要件を満たせば家族(配偶者、こども)を母国から呼び寄せることができます。
特定技能1号とは?
特定技能1号とは、12分野の職種において相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格のこと。在留期間の上限は5年で、原則、家族の帯同はできません。
この章のまとめ
・特定技能とは、専門性や技術を持った外国人に与えられる在留資格
・特定技能制度は、人材不足が深刻な業界の労働力を補うための制度
・特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類がある
特定技能1号と特定技能2号の違いを解説
先ほど、特定技能には「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があるとお話しました。
特定技能1号と特定技能2号の違いは、以下の通りです。
特定技能2号 | 特定技能1号 | |
---|---|---|
求められる 仕事のレベル | 熟練した技術がある | 相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事できる |
在留期間 | 上限なし | 通算で上限5年まで |
職種 | 11分野※介護分野は含まれない (ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業) | 12分野 (介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業) |
永住について | 一定の要件を満たすと、将来、永住申請が可能 | 原則として不可能 |
取得方法 | 多くの場合、AとBの2つを満たす必要がある(※一部分野において例外あり/下記図A参照のこと) A:「特定技能2号評価試験」または「技能検定1級」に合格 ※自動車整備分野の技能検定は2級 B:監督・指導者として一定の実務経験を積む ※業種によって求められる実務要件が異なる | 2通り(AorB)いずれかの方法で取得可能 A(試験ルート):以下の2種類の試験に合格 (1)「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)」のN4レベル以上 ※介護分野は「介護日本語評価試験」の合格も必須 (2)特定産業分野の特定技能1号評価試験 B(実習ルート):技能実習2号、もしくは技能実習3号を良好に修了 ※技能実習の職種・作業内容と、切り替えを目指す特定技能1号の業務との関連性がある場合、認められる |
日本語に関する試験の有無 | 漁業分野と外食分野以外はない ※漁業分野と外食業分野は「日本語能力試験(JLPT)」のN3レベル以上が求められる | ある(上記の通りAは(1)が要件) ※Bの場合はない |
家族の帯同 | 要件を満たせば可能(配偶者、こども) | 原則として不可 |
特定技能2号と特定技能1号の違いについて、以下、項目ごとに補足します。
求められる仕事のレベル
特定技能1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は、経験を必要とする技能を要する業務に従事するための能力が必要です。一方で特定技能2号は、特定分野産業に属する熟練した技能が必要になります。2号では、1号よりも高い技術レベルが求められています。
在留期間・永住について
在留期間は特定技能1号が通算で5年が上限と決められています。
一方特定技能2号は、一定の要件を満たすと、将来、永住申請が可能となります。
取得方法
特定技能2号は特定技能1号と違って実務経験を積み、業種によっては管理業務を一定期間しなければいません。
特定技能1号を取得するためには、2通り(A or B)の方法があります。
A(試験ルート):2種類の試験に合格
(1)「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)」のN4レベル以上
※介護業界はこれに加えて「介護日本語評価試験」の合格も必須
(2)特定産業分野の技能評価試験
B(実習ルート):技能実習2号、もしくは技能実習3号を良好に修了
※技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務との関連性がある場合、認められる
一方、特定技能2号を取得するには、2つの条件を満たす必要があります(一部分野において例外あり/下記図A参照のこと)。
(1)「特定技能2号評価試験」または「技能検定1級」に合格
※自動車整備分野の技能検定は2級
※漁業分野と外食業分野のみ、「日本語能力試験(JLPT)」のN3レベル以上が求められる
(2)実務経験を積み、業種によっては管理業務を一定期間する
以下(図A)は、特定技能2号を取得するための方法を広島県がまとめたものです。分野によって試験のルートが若干異なります。
求められる日本語のレベル
特定技能1号は、技能実習2号もしくは3号を修了していない場合(つまりA試験ルートの場合)、日本語の試験(「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)」のN4レベル以上)に合格する必要があるのに対して、現状、特定技能2号は多くの分野で日本語の試験を受ける必要がありません(※)。ただし今後、特定技能2号の日本語要件については法改正が見込まれており、全ての分野でCEFRのB1レベル(JLPTのN3)以上が求められるようになる可能性があります。
※漁業分野と外食業分野は例外として「日本語能力試験(JLPT)」のN3レベル以上が求められる
家族の帯同
特定技能1号は原則として家族の帯同が認められていないのに対して、特定技能2号は要件を満たしていれば母国から配偶者とこどもを帯同することができます。
要件は以下の通り。
・婚姻関係を証明できること
・家族を養える経済力があること
これらの要件が認められる場合は、配偶者とこどもにも在留資格が認められます。なお、親や兄弟、親戚は呼び寄せることができません。
この章のまとめ
・特定技能1号と特定技能2号の大きな違いは「求められる仕事のレベル」「在留期間」「家族の帯同の可否」
・特定技能1号は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は、経験を必要とする技能を要する業務に従事するための能力が必要。特定技能2号は、熟練された技術が必要
・特定技能1号は、在留期間が最大5年なのに対して、特定技能2号は上限がない。一定の要件を満たすと、将来、永住申請が可能
・特定技能1号は原則として家族の帯同は原則として不可。特定技能2号は要件を満たせば配偶者、こどもの帯同が可能
技能実習と特定技能の違いを解説
ニュースで「技能実習」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。技能実習と特定技能はどちらも現業に従事する外国人の在留資格ですが、その目的は異なります。技能実習は、日本で培った技術を母国に伝えるための制度のことです。
技能実習と特定技能の違いをわかりやすく下の表にまとめました。
技能実習 | 特定技能 | |
---|---|---|
目的 | 発展途上国出身の外国人に日本の高い技術を伝えるための制度 | 人手不足解消のための人材確保 |
職種 | 90職種165作業 | 特定技能1号:12分野 特定技能2号:11分野 |
転職の可否 | 原則として不可 | 可能 |
家族の帯同 | 原則として不可 | 特定技能1号:原則として不可 特定技能2号:要件を満たせば可能 |
在留期間 | 技能実習1号:1年以内 特定技能2号:2年以内 技能実習3号:2年以内 | 特定技能1号:5年以内 特定技能2号:無制限 |
受入れ人数 | 各企業:制限あり | 各企業:建設、介護分野以外は無制限 ※建設分野:特定技能と特定活動で就労する外国人の合計が、受け入れ企業の常勤職員の人数まで ※介護分野:事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数を上限とする 国全体:最大82万人(予定) |
目的
技能実習は、発展途上国出身の外国人に技術を習得してもらい、広めてもらうための国際貢献を目的とした制度です。
一方で、特定技能は、労働力不足が問題となっている産業の人手不足を解消するためにできた制度ですが、技術の移転を目的とした技能実習制度の一部の実態が、人手不足の解消を目指すものとなっているため、この制度上の矛盾を中心に、現在、法律の見直しが進められています。
職種
技能実習の受入れ先は90職種165作業とかなり細分化されているのが特徴。専門性を高めて技術を母国で広めるために、業務の幅が狭く設定されており、該当する職種や作業以外での雇用は認められいない上、雇用後も、それぞれ定められた作業しかさせてはいけない決まりになっています。
一方で特定技能は、特定技能1号が12分野、特定技能2号が11分野で、それぞれの業務に従事することができます。
転職の可否
技能実習は原則として転職(転籍)が認められておらず、一部から、現制度は人権侵害のおそれがあると指摘されていました。これを踏まえ、政府は技能実習制度の廃止、新制度の創設を検討しています(下記補足参照)。
一方、特定技能は転職可能。技能実習と異なる業種に移行する場合は、その分野の特定技能1号評価試験に合格する必要があります。ただし一部企業からは、1号評価試験に合格して採用した、試験ルートの特定技能人材の技術レベルが低く、育成に想定以上の手間やコストがかかるとの声も聞こえます。
【補足】
技能実習の転職制限は今後緩和される可能性が高いといわれています。
現在の技能実習制度を発展的に解消し、この代わりに「育成就労」制度が創設される予定です。技能実習とは異なり、一定の要件を満たせば別の企業に転職できるようになることが見込まれていますが、本記事の執筆段階で、本制度の法制化までにはある程度の時間がかかることが見込まれています。
家族の帯同
技能実習、特定技能1号は、家族帯同が原則として認められていません。
一方で、要件を満たせば特定技能2号の在留者は家族(配偶者・こども)を日本に呼び寄せることができます。
在留期間
技能実習1号の在留期間は1年以内、技能実習2号と技能実習3号が2年以内。1号→2号→3号と修了した場合、最長で5年在留できます。特定技能1号も在留期間の上限は5年です。ですから技能実習3号まで継続し、そのまま特定技能に切り替えた場合、最長で10年の在留が可能となっています。
一方で特定技能2号の場合、在留期間の上限はありません。
受入れ人数
技能実習1号では実習生の受入れ人数が常勤職員の総数、2号では常勤職員の総数の2倍を超えてはならないという決まりがあります。
しかし、優良認定を受けている企業の場合、受け入れ人数を引き上げることも可能です。
大手企業が実習生を雇用する場合に一部適用される「企業単独型」と異なり、一般的な中小企業が監理団体を通して実習生を採用する「団体監理型」の場合、以下のような人数制限があります。
常勤職員総数 | 技能実習生の受入れ可能数(一般企業) | 技能実習生の受入れ可能数(優良基準適合者) |
---|---|---|
301人以上 | 常勤職員総数の20分の1 | 常勤職員総数の20分の1 |
201人以上300人以下 | 15人 | 30人 |
101人以上 200人以下 | 10人 | 20人 |
51人以上 100人以下 | 6人 | 12人 |
41人以上 50人以下 | 5人 | 10人 |
31人以上 40人以下 | 4人 | 8人 |
30人以下 | 3人 | 6人 |
一方で特定技能は企業ごとの受入れ人数に制限がありません。ただし、建設分野と介護分野においては、受入れ人数に制限があります。建設分野は、特定技能と特定活動で就労する外国人の合計が、受け入れ企業の常勤職員の人数まで。介護分野は、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数が上限となります。
また、国全体でみると、政府は特定技能の人材の総数を制限しており、制度創設時にはおよそ34万5千人、そしてこれを最大で82万人まで拡大する方針を発表しています。(※)
※本記事の執筆段で特定技能人材は国全体でおよそ20万人
【コラム】技能実習から特定技能に移行が可能
技能実習生が日本に留まりたい場合、2通りの方法で技能実習から特定技能に移行することができます。
A(試験ルート):2種類の試験に合格
(1)「日本語基礎テスト(JFT-Basic)」または「日本語能力試験(JLPT)」のN4レベル以上
※介護分野は「介護日本語評価試験」の合格も必須
(2)特定産業分野の特定技能1号評価試験
B(実習ルート):技能実習2号、もしくは技能実習3号を良好に修了
※技能実習の職種・作業内容と、特定技能1号の業務との関連性がある場合、認められる
技能実習2号、もしくは3号修了後、関連性のある特定技能に移行する場合、特定技能1号の取得に必要な日本語の試験や技能評価試験は免除されます。この場合、移行には出入国在留管理庁などへの申請が必要です。
この章のまとめ
・技能実習と特定技能の大きな違いは「転職の可否」
・技能実習は、転職が原則「不可」。特定技能は「転職可能」
・技能実習は事業所ごとに受入れ人数が決められているのに対して、特定技能は一部分野を除いて無制限に雇用可能
特定技能2号に関するよくある質問
ここでは、特定技能2号に関するよくある質問にお答えしていきます。特定技能2号について疑問がある方は、ぜひ参考にしてください。
特定技能2号はどんな業種が拡大されましたか?
特定技能2号は、以前は「建設」と「造船・舶用工業」の2分野しかなかったものの、2023年6月の段階で、介護分野以外の11分野(ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)に拡大されました。
【補足】
特定技能1号について、2024年3月29日の閣議決定で、人手不足が深刻である「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4つの分野が将来追加されることとなりました。また自動車運送業と鉄道では、運転手及び運転士も対象に含まれており、これらについては、より高い日本語スキルが求められる見込みです。
なぜ特定技能2号には介護分野がないのですか?
特定技能2号に介護分野がないのは、2号とは別の在留資格として「介護」が存在するからです。原則として、介護福祉士の資格を取得すれば、申請が可能になります。
特定技能1号から2号に変更するにはどうすればいいですか?
特定技能2号を取得するには、2つの条件を満たす必要があります。
(1)「特定技能2号評価試験」または「技能検定1級」に合格
※自動車整備分野は技能検定2級
※漁業分野と外食業分野は、これに加え「日本語能力試験(JLPT)」のN3レベル以上が求められる
(2)実務経験を積み、業種によっては管理業務を一定期間する
特定技能2号の在留人数は現在何人ですか?
37人(※)です。
ちなみに特定技能1号の在留外国人数は、208,425人(※)なので、特定技能2号の人数は、かなり少ないといえるでしょう。
※出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和5年12月末現在)」より
特定技能2号評価試験は何回受けられますか?
特定技能2号評価試験の受験回数に制限はありません。ただし、特定技能1号は在留期間が設けられている上、多くの業種で、一定期間の実務経験やマネジメント経験が求められていることから、実質的に受験できる回数は限られています。
特定技能2号の難易度は?
特定技能2号の難易度は、特定技能1号よりも難しいといわれています。試験を受けるために実務経験を積んだり、業種によっては一定期間の管理業務に従事したりすることが求められる上、多くの業種において、試験の難易度そのものが高く設定されているからです。例えば、特定技能2号農業分野(耕種)だと、試験水準が「日本国内での実務経験が7年以上の者であれば、3割程度が合格する水準」(※)と定められています。
※農林水産省経営局就農・女性課「『2号農業技能測定試験』試験実施要領」
特定技能2号の可能性とキャリア支援の必要性 〜金の卵をどう育むか〜
最後に、特定技能2号人材が日本全国にまだまだ少ない中、10を越える特定技能2号輩出企業及び2号人材へのインタビューや、2号輩出のための企業コンサルティング及び1号人材への研修サービスを提供している弊社代表からのコメントを掲載し、本記事を締めくくりたいと思います。
「主に身分系の在留資格の方々を除き、現業分野における外国人材は、今まで、日本において中長期的なキャリアを築けずにいた。
数年後の育成就労制度の導入後も、引き続き、短期的なキャリア(いわゆる出稼ぎ)の外国人材や、そういった人材の雇用を継続する企業がなくなるわけではないが、ぼくは2023年6月の閣議決定のあとからすぐ、実際に特定技能2号の輩出に成功した企業や監理団体、また特定技能2号合格人材へのインタビューの機会に恵まれ、およそ1年をかけて、全国を巡ってきた。
彼らと接して実感したのは、現業分野で中長期的に就労できる外国人材の市場価値が非常に高く、また実際に彼らが存分に全国の企業で活躍しているということである。
ただし、これらは偶然そうなったわけでは決してなく、2号輩出の実に10年以上前から、2号人材の卵である技能実習生のキャリア形成を優良な企業や監理団体が支援してきた事実があり、また彼らに対し、複雑な特定技能2号制度の正確な情報提供を迅速に地方行政の自治体職員などが行ってきたからであると考えている。
すなわち、現業分野の外国人材のキャリア形成には、周りの人の支援や手間が大いに必要なのであり、多くのケースにおいて、企業や監理団体が何もせずとも、自然に特定技能2号人材が順次発生したり移行したりするというものではない。
また、特定技能2号認定のハードルが高ければ高いほど、特定技能2号申請に対する外国人材自身のモチベーションも重要となってくるわけで、何より当事者自身が大いに努力をして自身のキャリアを形成していく必要があることは、言うまでもない。
もっと言うと、日本では、同じく中長期のキャリア形成が日本で可能な大卒外国人材の卵である留学生に対するキャリア支援について政府や地方行政内で議論されることは少しあるものの、それ自体充分とはいえず、ましてや、全く同じ価値を有する、金の卵である技能実習生に対するキャリア支援の重要性については、現状、ほとんど論じられていない。
このように考えると、外国人雇用の政策分野の現状や、実際の企業、特に地方中小企業の動向を観察するに、未だ多くの企業において特定技能2号に対する正しい理解が得られているとは到底思えない。
この記事を通して、少しでも多くの企業や自治体職員などの関係者が特定技能2号について理解を深めることを期待している。
また、当該外国人材と雇用企業が一体となって中長期的に生産性や業務効率を高め、外国人材がさらに活躍し幸せなキャリアを日本で形成することで、全ての関係者の取り組みが最終的に日本の国益や世界の益となることを心から期待し、弊社としては大変微力ではあるが、本記事を皆様にお読み頂ければと願う次第である。」
省庁やJETRO、全国の自治体、大学などと連携して全国の外国人雇用企業に対し、社内体制の整備、異文化コミュニケーション、外国人スタッフの育成定着と戦力化に関する研修、ワークショップを数多く提供しています。また、ビジネス日本語教師の立場から、海外日本語教師の育成にも携わっています。
外国人の雇用は、日本で働く外国人もさることながら、一緒に働く日本人側にも負担がかかりますが、工夫次第でうまくいきます。日本人と外国人がともに働きやすい環境を作るためにどのような点を工夫すればよいか、できる限りわかりやすくお伝えしたいと考えております。
【委員等の実績】
・日本貿易振興機構(JETRO)高度外国人材スペシャリスト(現任)
・厚生労働省「外国人労働者雇用労務責任者講習検討委員会」委員(現任)
・東京都産業労働局「東京外国人材採用ナビセンター」企業相談員(現任)
・文化庁「日本語教育推進関係者会議」委員(2021-2023)
・広島県「特定技能外国人受入モデル企業」支援アドバイザー(2023)
・厚生労働省「外国人の能力開発に関する専門研修」検討委員会委員(2022)
・独立行政法人 国際交流基金 客員講師(2019-2023)
・経済産業省「職場における外国人材との効果的なコミュニケーション実現に向けた学びのあり方に係る調査事業」アドバイザー(2020)
・厚生労働省「雇用管理に役立つ多言語用語集の作成事業」有識者研究会委員(2020)
・文化庁「就労者に対する初任日本語教師研修教材開発」カリキュラム検討委員会委員(2020-2022)
・東京都「外国人材活用に関する検討会」委員(2020)
・経済産業省「外国人留学生の就職や採用後の活躍に向けたプロジェクト」政策検討委員会委員(2019-2020)
【メディア掲載】
・朝日新聞デジタル(電子版・2024/3/7)「「次は家族と一緒に」外国人労働者の資格、広島県が後押しする理由」
・日本経済新聞電子版(2023/11/24)「「育成就労」どんな制度? 技能実習の転職制限、段階緩和」
・朝日新聞(全国版)・朝刊2面(2023/7/3)「日本語ペラペラ」求めるだけの企業は選ばれない 人材獲得の障壁に」
・日本経済新聞電子版(2021/12/26)「レベル高すぎ? 企業が外国人材に求める日本語力」
・共同通信(2022/12/2)Is “standard” Japanese test best metric for hiring foreigners?
・アイデム 人と仕事研究所「外国人スタッフの定着と戦力化を図る」
・向学新聞 連載「日本語のプロと考える ビジネス日本語」
・全国自治体による、外国人スタッフへの日本語教育に関する助成制度の実態調査
・ビジネス日本語研究会 2020年1月号ジャーナル 研究論文掲載(共著)
・jops biz「日本人社員と外国人社員のコミュニケーションギャップとは」
・Knowledge Society「外国人と企業の懸け橋へ 日本語教師出身の創業者に独立の思いを聞く」